やっぱりアクティブファンドはインデックスファンドに勝てない
こんばんは、おーたむです。
Amazon Primeで無料で読むことができる「インデックス投資は勝者のゲーム ──株式市場から利益を得る常識的方法」という本を読んでみました。この著者である、ジョン・C・ボーグルは、当ブログで何度も登場している、VTやVTIでおなじみのバンガード社の創業者です。インデックス投資家ならぜひとも知っておきたい人で、それはなぜなら、彼が世界で初めて個人投資家向けのインデックス投資信託を作った人だからです。
さて、この本の内容を簡単に言ってしまうと、アクティブファンドは、まずインデックスファンドに勝てないので、インデックス投資をしようというものです。彼がインデックス投資信託と深い関わりのあるバンガード社の創業者であることから、ポジショントークであることは否定しませんが、この本では実際のデータをもとに、いかにアクティブファンドへの投資がインデックスファンドへの投資に劣っているかを示してくれています。データの話と聞くと読んでいるうちに眠くなってしまいそうですが、文章が分かりやすく書かれているからか一気に読んでしまいました。ぜひともみなさんにも読んでほしいと思っています。
今回は、特に私が面白いと感じた第10章について簡単に紹介させていただこうと思います。気になった方は実際の著書を買うか(Kindle版:1,800円)、Amazon Primeに加入して読んでみてください。
第10章 長期的な勝者を選択する――針を探すな、枯れ草を買え
いい投資先というのは何でしょうか。投資するとしたら、当然ですがリターン(利益)が大きいものに投資したいものですよね。もちろんこれが分かっていれば苦労しないわけですが、いわゆるインデックスファンドのリターンはそれほど多くないことから、プロの力でなんとかインデックスを上回るリターンを得られないものかと考えるのが人情というものです。これがアクティブファンドですね。アクティブファンドを選ぶ際、多くの人が参考にするのが過去にどれだけそのファンド(投資信託)がリターンを得たかだと思います。これは過去にいいリターンだったわけだから、将来に渡ってもいいリターンを獲得するはずだという考えに基づいています。たしかに、過去に大したリターンを得られなかったファンドは、今後もリターンを得られなさそうですし、なんならマイナスになってしまいそうです。でも、果たしてそれは本当でしょうか。ボーグルはこのあたりのことについて、データを基に実に明快に結論を与えてくれます。
1970~2016年の投資信託のリターン
ボーグルは、1970年時点で存在した355個の株式ファンドがその46年後(2016年)にS&P500インデックスと比較してどうなったかを分析しました。結果は次の通りで、
S&P500と比較して+2%以上のリターン:2
+1~2%:8
-1~+1%:35
-2~-1%:18
-2%以下:11
存在しない:281
でした。驚くべきことに、実に約80%にあたる281のファンドは46年で消失してしまいました。ボーグルは、少なくともこの281のファンドが優れていたから消失してしまったと考えるのには無理があると結論づけており、恐らくS&P500より成績は悪かっただろうと推察しています。
生き残ったファンドを見ても残念な結果でした。64個はS&P500と同等かそれ以下で、勝ったものはわずか10個、つまり、1/35の割合です。ボーグルはこのうち、+1~2%だった8個は運がよかっただけと考えているようです。
勝ったファンドはどうなったか
ということで、2%以上勝った2つのファンドについて見ていきましょう。
1つは、フィデリティ・マゼランと呼ばれるファンドで、S&P500に対して年+2.6%というすばらしい成績を残しています。このファンドは、1970~1993年頃までほぼ毎年S&P500よりも優れた成績を残し、それに伴ってファンドの資産も右肩上がりで増加しましたが、以降は徐々にS&P500に負け続け、それに伴い、ファンドの資産も減少しています。グラフを見れば言いたいことが一目瞭然なのですが、それは実際の本で確かめて下さい。
もう一つは、コントラファンドと呼ばれるものです。こちらは、S&P500に対して年+2.1%となっています。現在のところほぼ毎年勝ち続けており、ファンドの資産も右肩上がりです。未来がどうなるかはもちろん分かりませんが、ボーグルはマゼランファンドのまさに最初の右肩上がりのところを見ているのだろうと述べています。この先どうなるかは言うまでもないですね。
株式市場全体を買おう
上の話から分かるように、数多くの投資信託から優秀なファンドを見つけられる確率は、355分の2、すなわち0.5%程度です。しかも、それがいつまでもいいパフォーマンスを保てるわけでもありません。それであれば株式市場全体に投資するほうが勝率も高く、また苦労もありません。言うまでもなく、株式市場全体への投資とはインデックスファンドの購入のことを指しています。
まとめ
欲を出してインデックスファンドよりも高いリターンを求めたくなりますが、本書に記載されている客観的なデータを見ると、個別株やアクティブファンドへの投資がいかに非合理的かが分かります。
と言いながら、私は現在コア・サテライト戦略でアクティブファンドへの投資を行っています。しかし、本書を読んで、あまりにも勝率の低い賭けであるため、コア(インデックスファンド)の割合を大幅に増やすことにしました。この記事を読んだ方で、サテライト(個別株・アクティブファンド)にばかりお金を回している人がいたら、この本を読んで、今一度戦略を練り直すことをオススメします。
この本は、他の章にも面白いことが書かれており、また簡単に紹介したいと思います。