どの”インデックス”に投資すればいいのか
こんばんは、おーたむです。
今回も「インデックス投資は勝者のゲーム ──株式市場から利益を得る常識的方法」の話です。
このブログでは何度もインデックス投資を勧めてきましたが、よくよく考えてみると、インデックスと言ってもさまざまなインデックスがあります。インデックス投資がいいということは、どんなインデックスに投資してもいいのでしょうか。実はこのことについてもボーグルは言及していますので、今日はそれを見ていきましょう。
第16章 インデックスファンドが市場に勝つことを保証する――新しいパラダイム
ボーグルが推奨しているインデックスは、広範なアメリカ株式市場(S&P500またはVTI)、アメリカ以外の株式市場、そしてアメリカの債券市場に連動するものです。要するに幅広く分散投資をしているものですね。
一方で、スマートベータと呼ばれる、新しい種類のインデックスの話を、以前にロボアドバイザー「THEO」について書いた記事で紹介しましたが、ボーグルは、このスマートベータはインデックスファンドではなく、アクティブファンドをインデックスファンドのように言っているだけだと言っています。
一般的なインデックスファンドは、それぞれの会社の株を時価総額にしたがって重み付けしており、これを時価総額加重平均といいます。TOPIXしかり、S&P500しかり、この方法で計算されています。
この時価総額加重平均以外の方法で各会社(銘柄)を重み付けしたものをスマートベータと呼びます。例として、時価総額でなく、配当金の金額に応じて、各会社への投資金額が変わるものは、アクティブファンドと違って投資の土台が客観的にできていますが、インデックスファンドではなく、スマートベータということになります。
スマートベータ戦略は、インデックスを超えることを目的としていますが、ボーグルは結局はインデックスに勝つことは難しいだろうと言っています。それは、過去の研究でたとえインデックスに勝つスマートベータが見つかったとしても、平均回帰の話で言ったように、それが未来にも保証されるわけではないからです。
ここでも、ボーグルは伝統的なインデックスファンド(S&P500)と、スマートベータの一種である、「ファンダメンタル・インデックス」および「配当加重インデックス」の比較をしています。それぞれのスマートベータについては、こちらを読んでいただくと分かると思います。
結論から言うと、ファンダメンタル・インデックスは、リターンが7.6%/年とS&P500(6.9%)に勝っていた一方で、リスクが高くなっていました(17.7 vs 15.3)。配当加重インデックスは、リターン6.6%、リスク15.1とどちらもS&P500より低かったです。どちらのスマートベータもリスクあたりのリターン(シャープレシオ)を求めるとS&P500よりも劣っていたことも述べられています。
注目すべきは、S&P500との相関で、どちらも0.97とかなり高い相関となっていました。これが意味することは、S&P500と大差ないということです。さらに、基本的には伝統的なインデックスファンド(S&P500)と比較して、スマートベータはコストが高くなることから、ボーグルはスマートベータを「割高なインデックスファンドの類似品」と言っています。
大差ないものを選ぶくらいなら、未来がよりはっきりしていそうな(つまり安全な)ものを選ぶべきでしょう。
まとめ
スマートベータは、インデックスファンドのリターンを超える可能性はあるかもしれませんが、インデックスファンドは確実で、しかも、悪くないリターンを投資家にもたらしてくれます。したがって、新しいものに飛びつくよりも堅実に行ったほうがリターンは大きくなる可能性が高いです。
ここからは、私的な意見ですが、本書はボーグルがアメリカ人向けに書いた本であることを考えると、この本ではS&P500やVTIに連動する投資信託への投資が推奨されていますが、世界中の株にさらに幅広く分散投資をするVTこそが、最もインデックスらしいインデックスなのではないかと思います。なぜなら、ある意味でS&P500にしろ、VTIにしろ、アメリカに重み付けしたインデックス、つまり”スマートベータ”と言えなくもないからです。